3Dプリンターの精度とは?決定要素、造形方式別の精度の限界

3Dプリンターを利用して造形をする場合、できるだけ精度の高い仕上がりを得たいと考えている方も多いのではないでしょうか。3Dプリンターの精度を決めるポイントは、造形方式のほか素材や3Dプリンターのスペックによっても影響します。今回の記事では、3Dプリンターの精度を決める要素や造形方式別の精度を上げる方法、家庭用とハイスペックの3Dプリンターの精度の比較について解説します。高精度の3Dプリンターの導入を検討しているときや、3Dプリンターの造形の精度を上げたいときには、ぜひ参考にしてください。

BMF Japan株式会社では、従来の切削加工や金型では難しい複雑で微細な構造を実現できる産業用3DプリンターmicroArchシリーズを取り扱っております。精度や予算など、重視したいポイントに合わせた製品のご提案も可能です。
また、医療機器、マイクロ流体、マイクロメカニクス、MEMS、科学研究など、様々な分野で、世界中のお客様のニーズに合わせて、最適な3Dプリンティングソリューションをご提案します。ぜひお気軽にご相談ください。

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3Dプリンターの精度とは

3dプリンタ― 精度

精度とは、何かを計測または計算した際に発生したばらつきの大きさのことです。
3Dプリンターの精度とは、造形物の細かさ・精密さを表したものを指します。具体的にはでき上った造形物の寸法や滑らかさの誤差が、元データである設計図と比べどの程度であるのかを表したのが3Dプリンターの精度です。

3Dプリンターの精度には、元データと比較した長さ・厚み等の寸法の正確さを表した「寸法精度」と、真円度や平面度などの表面の仕上がりの誤差を表した「表面精度」のふたつがあります。寸法精度や表面精度が出ていない場合、部品が組み込めない、がたつきが出るなどの問題が発生する可能性があります。特に寸法精度が出ていないと、製品を破損させる原因にもなりかねません。

3Dプリンターの精度を決める要素

3Dプリンターの精度を決める要素

3Dプリンターの精度を決める要素について解説します。

Z方向の積層ピッチ

積層ピッチとは、3Dプリンターが高さのある造形物を出力する際に材料を積み上げる層の厚みのことで、数十μmから数百μmまでさまざまです。

積層ピッチが大きいと造形物の密度が低い、つまり仕上がりが粗く寸法も造形物の箇所によってばらつきが出てしまいます。
積層ピッチが小さければ小さいほど表面が滑らかになり、測定する箇所を問わず精度が高くなります。ただし積層ピッチが小さいと造形するのに時間がかかるのがデメリットです。

3dプリンター 精度 1
積層ピッチの単位は「mm」で表現され、3Dプリンターの仕様書に記載されています。

X-Y方向の解像度

光造形、インクジェットやSLS方式の精度に影響するのは、X-Y方向の解像度もあります。X-Y方向の解像度は、造形物を平面方向にどの程度詳細に表現可能かを示す指標です。

3dプリンター 精度 2
X-Y方向の解像度が高いほど、滑らかな曲線や複雑な形状、設計の詳細部分を正確に再現できます。解像度が低いと、見た目や触れた際のざらつきや形のずれが気になることがあるでしょう。

X-Y方向の解像度は「DPI」および「mm」で示します。「DPI」は、1インチの中に入れることができるドット数です。DPIの値が大きいほど、造形物の再現性が向上します。「mm」はX-Y方向の移動量で、値が小さいほど細やかに動くことができ、細部の再現性が高まります。

熱溶解積載方式の場合、ノズル(溶かした樹脂を排出する部分)の太さもX-Y方向の解像度の精度に影響する要素です。細いノズルは高精度での印刷が期待できますが、プリントに時間がかかります。太いノズルは短時間で印刷可能ですが、解像度が低下する傾向があります。

材料の収縮や反り

3Dプリンターは積層の過程で材料となる金属や樹脂を加熱し、溶かして、冷却することで造形します。熱溶解積層方式などの高温となる造形方式の場合には、造形物が冷える段階で収縮や反りが出て、寸法が変化したり、変形が起きたりするため、精度に影響があります。

一般的に金属の方が樹脂よりも加熱後の冷却による収縮率は低いですが、造形条件や設計条件によっては造形物の寸法や形状が変わってしまうこともあります。材料の収縮や反りは、程度によっては解像度や積層ピッチよりも精度低下の原因になる場合もあります。

サポート材の除去

3Dプリンターによる造形時、造形物を支えるために使用するのがサポート材です。サポート材が造形物の表面に残っていると、サポート材の分だけ寸法が大きくなってしまうため、誤差が生じます。

材料の吸水率

UV硬化樹脂など吸水率が高い材料は、多くの水分を吸ってしまうため材料が膨張し変形しやすいです。一方で吸水率が低い材料は水分を吸わない分材料が膨張しないため、変形しにくいです。

3Dプリンターの設定

3Dプリンターの速度や造形する向きなど、3Dプリンターの設定も精度に影響します。

各種3Dプリンターの精度の比較

各種3Dプリンターの精度の比較

3Dプリンターには家庭用と業務用があり、さらに安値のプリンター、ハイエンドモデルのプリンターもあります。各3Dプリンターの精度を比較して紹介します。

家庭用3Dプリンターと業務用3Dプリンターの精度の違い

家庭用3Dプリンターは手ごろな価格で手軽に購入できるため導入が簡単ですが、精度は業務用3Dプリンターに劣ります。

業務用3Dプリンターは家庭用3Dプリンターにはない、細かい温度管理や造形パラメータ設計といった機能が搭載されています。そのため精度が高く、設計データにより即した造形物を作れるでしょう。ただし家庭用3Dプリンターよりも価格が高く、専用サイトや法人向け商品への問い合わせなどが必要です。

試作の造形のみに使用するなど使用用途がごく少ない場合には、家庭用3Dプリンターでも補える可能性があります。
高い精度の造形が必要であったり、量産を検討しているのであれば、品質担保のためにも業務用3Dプリンターの検討をおすすめします。

安価な3Dプリンターとハイエンドモデル3Dプリンターの精度の違い

安価な3Dプリンターとハイエンドモデルなら、当然ハイエンドモデルの方が高い精度での造形が可能です。

安価な3Dプリンターは価格が安い分、材料の反り返りや変形が起きやすい、設計データが寸法に忠実に現れない、表面が粗いなど寸法精度、表面精度ともに低い傾向にあります。また、造形が途中で止まる、フィラメントが固まるといった装置のトラブルや造形失敗などが起きることもあります。精度が落ちるだけでなく、業務効率も悪くなる可能性もあります。

また、高速造形可能な安価な3Dプリンターもありますが、精度に影響が出ることもあり、速度と精度が両立できない場合が多いです。

ハイエンドモデルの産業用3Dプリンターは材料が変形しにくく、反り返りを抑える機能が搭載しているものもあり、寸法精度が高く出やすいです。均一で滑らかな表面精度を誇り、サポート材を除去する際も、表面の荒れが少ない傾向にあります。装置トラブル、プリンターの性能による造形失敗も安価な3Dプリンターよりもはるかに少ないでしょう。
速度については、高精度を担保するために高速化されていない機種もありますが、高精度と高速性の両立を意識して設計された機種や、積層ピッチを厚くすることで時間の短縮を可能にする「高速モード」などを搭載している機種もあります。

たとえばBMF Japan株式会社の3Dプリンター「microArchシリーズ」は、価格とスペックに応じて4つのモデルを用意しています。希望公差±10umの超高精度を実現するハイエンドモデル「S230」から、コストパフォーマンスの良さを発揮するスタンダードモデル「P150」まで、精度と予算、重視したいポイントに合わせて選べるラインナップから最適な一台を選択できます。

3dプリンター 精度4

造形方式ごとの寸法精度の限界

3dprinterの精度-5

画像引用:BMF Japan 株式会社  マイクロスプリングの3D造形本体:10μm、スプリングワイヤーの直径:100μm)

3Dプリンターを使って造形を行う場合、素材によって造形方式が異なります。造形方式ごとの寸法精度の特徴や限界について解説します。

熱溶解積層(FDM)方式の精度

熱溶解積層方式とは、加熱によって材料を溶かし、冷却して固めて造形する方法です。加熱による膨張、冷却による収縮による寸法変化や変形が起きやすい特徴があります。元のデータと比較すると±0.1mm~0.2mm誤差が生じやすいです。

上面、底面、側面(壁)、内部充填を繰り返して造形を進めていくため、側面(壁)の厚みが薄いほど強度が下がり、正常な造形も難しくなる傾向にあります。なおノズル径よりも細い幅は造形できません。

光造形方式の寸法精度

光造形方式とは、光硬化性樹脂(光によって固まる性質の樹脂)を使い造形する方法です。底面からレーザーを照射することで材料を固め、1層分が完了すると1層分だけテーブルが下がって、次の1層の照射を行い、積層を進めます。

熱溶解積層方式よりも熱膨張が起こりにくく、その分収縮もわずかであるため、寸法精度がすぐれているのが特徴です。モデルが100mm未満の手のひらサイズならX-Y方向の平均誤差0.1~0.2mm以内の精度で仕上げられるでしょう。さらに精度の高いモデルの3Dプリンターなら、誤差を0.05mm未満まで抑えることが可能です。

【参考事例】マイクロニードルアレイの3D造形

本体:S240 (10μm)、最小底面直径:200μm
引用:BMF Japan株式会社 

ただしZ方向はプラス気味になりやすい傾向にあるため注意が必要です。
光造形方式(吊下げ方式)は、造形が進むと造形物はつり下がった状態になりますが、その際材料はまだ完全には固まっていません。そのため大きなサイズの造形物では、自重でZ方向(縦方向)に延びてしまうことがあります。
Z方向では0.3mm以内の誤差となり、X-Y方向と比較して精度が劣ります。
※上記動画(BMF Japan 株式会社)は積み上げにより造形する方式のため、精度は維持されます。

粉末焼結方式の寸法精度

粉末焼結方式とは、粉末をプールに敷き詰め、レーザーで焼くことで固めます。そして固まらなかった粉末はサポート材(モデルを支えます)になる造形方式です。造形物が安定した状態で造形されるため、X、Y、Z方向で同じ精度で仕上がります。

100mm未満のサイズなら、誤差0.3mm以内の精度で仕上げられます。ただし100mmを越えるサイズになると誤差が大きくなり、ワークサイズに対して2%程度の誤差が出ることに注意しましょう。高温の状態から急冷却する工程で、反りが起こりやすいためです。

金属3DプリンターFDM方式における寸法精度

金属3Dプリンターの熱溶解積層方式での寸法精度は、材料を加熱した際に膨張することからX-Y方向は0.2mm程度の誤差となります。Z方向の精度については積層ピッチによります。

また、造形後に20%の収縮が発生します。
それは金属材料のフィラメントは結合剤(バインダー)として熱可塑性樹脂を金属粉末に配合しており、造形後にバインダーを抜く処理を行うためです。質量がバインダー分だけ減った結果、約20%小さくなります。

造形物は誤差0.2mm程度の精度で仕上がるものの、その後20%収縮するため精度のコントロールは他の造形方法に比べて難しいと言えます。厳しい精度を求める場合、穴あけ、ネジ切り、表面研磨などの完成した造形物への追加工でなければ対応できない場合もあります。

3Dプリンターの精度を上げる方法

3Dプリンターの精度を上げる方法

画像引用:BMF Japan 株式会社

ここでは3Dプリンターの精度を上げる方法を解説します。

積層ピッチの小さい3Dプリンターを選ぶ

積層ピッチの小さい3Dプリンターなら、積層の密度が高くなるため精度の高い造形が実現できます。ただしプリント時間が長くなるため、量産性やほかの工程との兼ね合いを検討して、積層ピッチの値を決めましょう。

ノズルを細くしてX-Y方向の解像度を上げる

熱溶解積層方式であれば、精度を上げるためにはノズルの太さにも注意が必要です。細いノズルは詳細な特徴を高精度で印刷できますが、プリント時間が長くなります。太いノズルは速く印刷できる一方、細部の解像度が低下することがあるでしょう。層の高さや材料などのバランスを考え、最適なノズルの太さを検討することが大切です。

精密な温度管理ができる3Dプリンターを選ぶ

精密な温度管理ができる3Dプリンターを選ぶと、加工時の加熱による膨張、冷却による収縮の影響を受けにくい温度条件下で造形ができるため、精度を上げられます。

材料の収縮を防ぐための工夫をする

収縮による寸法の変化や変形を防ぐために、材料には収縮率が小さい物を採用したり、大きな造形物を作る際にはサイズの分割を検討したりするなどの工夫で精度があがります。

サポート材を確実に落とす

表面に残ったサポート材をしっかり落とせば、寸法に大きく影響しません。サポート材が少なく残るような向きで造形を行う、容易に除去可能なサポート材を使用するといった方法も有効です。

吸水率の低い材料を選ぶ

吸水率が低い材料は吸水による膨張がしにくく変形しにくいです。
精度の高い3Dプリンターは、吸水率の高いUV硬化性の樹脂を使用していることがあります。3Dプリンターの精度が高くても、材料の吸水率が高いと精度が低くなるため、造形の設計や条件によっては、材料を見直すことも重要です。

3Dプリンターの設定を最適化する

プリンターの速度を落とすと、ブレが抑えられるためより正確な造形が可能です。
ただし造形の速度が落ちるため精度と速度のバランスを考えて速度調整をしましょう。材料の反りが気になるときには、造形する向きを工夫してプラットフォームとの接着面積を広げると、反りの予防になります。

まとめ

3Dプリンターの精度を決める要素や各プリンターの精度の比較、造形方式別の精度限界や精度を上げる方法を解説しました。
精度の高い造形物をプリントしたいなら、高い寸法精度や表面精度を実現できるハイエンドモデルの3Dプリンターが最適でしょう。

BMF Japan株式会社では、従来の切削加工や金型では難しい複雑で微細な構造を実現できる産業用3DプリンターmicroArchシリーズを取り扱っております。精度や予算など、重視したいポイントに合わせた製品のご提案も可能です。
また、医療機器、マイクロ流体、マイクロメカニクス、MEMS、科学研究など、様々な分野で、世界中のお客様のニーズに合わせて、最適な3Dプリンティングソリューションをご提案します。
ぜひお気軽にご相談ください。

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